• 皮膚運動学

皮膚運動学

●A5 / 154頁 / 2010年
 
【編集】 福井 勉
 
 
正誤表および修正項目【PDF】
 

 

商品コード: ISBN978-4-89590-370-7

本体価格:2,800 円

定価: 3,024 (税込)

商品情報

内容紹介

 身体運動中の皮膚は、さまざまな部位で皺が観察され、または伸張されている。その運動時に皮膚が動く方向へ皮膚を他動的に誘導すれば、関節可動域が改善するという事実がある。また、臨床家の間では手術後の瘢痕形成は関節運動に影響することはよく知られているが、その瘢痕の影響が身体の一部にとどまっていないと多くが感じている。このような皮膚の挙動特性について疑問を解く書物はみられない。しかしながら、その動きには一定の法則があるようだ。
 本書は、皮膚の動きについて科学的な検証と長年の臨床経験をもとに、皮膚の特徴から原則までを明確に解説し、各部位への可動域アプローチの方法および症例を交えて動作障害に対する治療技術を具体的に理解しやすくまとめた類のない書である。ひとの身体に携わるすべての職種の方に一読を勧める。
 

目次

第1章 皮膚運動の理論 ・・・ 福井 勉
  第1節 皮膚運動の特徴 
    1. 皺線(wrinkle lines) 
    2. 皮膚割線(cleavage lines, Langer line) 
    3. 運動に伴う皮膚の連続性  
    4. 筋収縮との関連性 
    5. 皮膚の緊張線(skin tension lines)
  第2節 皮膚運動の基礎
    1. 肩関節屈曲・伸展中の皮膚運動
    2. 股関節屈曲運動中の皮膚運動
    3. 立位過重時の骨盤を左右に動かした場合の皮膚の動きについて
  第3節 皮膚運動の原則
    1. 皮膚と運動
    2. 原則 1
    3. 原則 2
    4. 原則 3
    5. 原則 4
    6. 原則 5
  第4節 運動器疾患への適応
    1. 関節運動の改善
    2. 筋運動の改善
    3. 姿勢の改善
    4. 運動療法への応用
    5. 皮膚の評価
    
第2章 運動器疾患に対する治療への応用
  第1節 関節運動の改善 ・・・ 福井 勉
    1. 肩甲帯
    2. 肘関節
    3. 前腕
    4. 手関節
    5. 上肢関節間での皮膚運動の方向について
    6. 股関節
    7. 膝関節
    8. 足部・足関節
    9. 下肢関節間での皮膚運動の方向について
    10. 頸部
    11. 体幹
    12. 姿勢や運動への応用
  第2節 症例紹介 ・・・ 山口耕平・相谷芳孝
    1. 第4〜5腰椎分離症を有する右人工膝関節全置換術後
    2. 急性筋膜性腰痛
    3. 右肩関節周囲炎①
    4. 右肩関節周囲炎②
    5. 右脛骨高原骨折および右腓骨骨折(観血的整復固定術後)
    6. 右シンスプリント
    7. 右頸骨高原骨折
    8. 右胸郭出口症候群
    9. 橈骨遠位端骨折
    10. 頸部痛(寝違え)
  第3節 今後の展望 ・・・ 福井 勉
    1. 筋緊張の改善
    2. 姿勢の改善
    3. おわりに
 

帯文

 従来の運動器系疾患に対する理学療法は骨・関節、あるいは筋や腱などの軟部組織に対してのアプローチが主体をなしている。関節運動は関節軸を中心に起こる回転運動であるが、この関節軸から最も長いレバーアームをもつ皮膚に着目した今回の福井勉氏のアプローチはまさしく画期的であり、関節運動を制御するうえで大きな変化を及ぼすことが予測される。臨床における理学療法の戦略として他のアプローチと同様に重要な部分になると確信する。
 
                                                     足と歩きの研究所  入谷 誠
 

推薦の辞

 1966年、第三の医学としてリハビリテーションが日本に輸入されてから 44年、リハビリテーションは本来の趣旨とは異なって身体機能障害を改善する治療医学として社会から認識されている。リハビリテーションが日本文化によってアレンジされて定着した結果、理学療法士もリスク管理のできる訓練士から身体機能障害を改善する治療技術者としての技能が要求されている。
 しかしながら、リハビリテーション部門における身体機能障害に対する訓練士として教育・養成されてきた理学療法士は、身体機能障害を克服して生活動作を確立させるための知識と技術をもって治療に対応せざるを得ず、理学療法士の業務がリハビリテーションから治療の場面に広がりをみせている。今後、社会のニーズに対応できるのか、多くの理学療法士は不安を感じている。
 福井勉氏の著作「皮膚運動学-機能と治療の考え方」は,まさにときを得たものといわざると得ない。職制上、身体の表面からの対応しかできない理学療法士にとって、皮膚から機能を考えたアプローチは、そく実践できる技術であり、理学療法士の技術の幅を広げられる技能になるであろう。
 皮膚が関節運動および動作運動に関与していることは、臨床上観察されていたものであり、一部の理学療法士が断片的に関節運動改善に試みていたが、福井氏らは、はじめて皮膚の関節運動および動作運動における関与について動作解析装置を使って検証し、皮膚から関節運動および動作機能を考えたアプローチが臨床の場面で技術として使えることを科学的に実証した。皮膚から関節運動および動作機能を考えたアプローチは、一般的には理解できないかも知れない。理学療法士は、技術職としての自負から理解できないことが自分自身の知識や経験の不足が原因だとしても受け入れを拒否する傾向がある。10年、20年経て理解できたとしても、その時では遅すぎる。
 日本人は、しばしば新しいものを評価する時は、自分自身よりも権威者の評価が基準になる傾向があるが、理学療法士は破綻した身体機能構築の専門家である自分自身の眼で評価してほしい。
 限りなく技能の向上を目指す多くの理学療法士の方々に、己の技能の糧として一読することを薦める。
 
                                                         理学療法士 山嵜 勉

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