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  • 創傷治療の常識非常識 [消毒とガーゼ]撲滅宣言

創傷治療の常識非常識 [消毒とガーゼ]撲滅宣言

A5変型 / 160頁 / 2004年
【著者】 夏井 睦(石岡第一病院傷の治療センター)

商品コード: ISBN4-89590-202-1

本体価格:2,800 円

定価: 3,024 (税込)

商品情報

内容紹介

医療行為とは何かを問いつめると、「病気や怪我の苦痛をとり除くこと」「病気や怪我を早く治すこと」の2つにつきる。この意味で、「苦痛を与え」「回復を遅らせる」行為は、反医療行為と見なされるべきである。しかし、現在の日本の医療現場(そして世界中の医療現場)では、その反医療行為が日常的に平然と行われている。それが「傷を消毒してガーゼをあてる」行為だ。「傷を消毒してガーゼをあてる」ことで、傷の治癒を遅らせて患者さんに経済的損害を与え、無用の身体的苦痛を与えている。すなわち、医療行為として行われているものの中で最も意味がなく非科学的で野蛮な行為といえる。
本書は「消毒とガーゼ」に替わる最新の創傷治療を紹介し、医療職にある人にはもちろんのこと、一般の方々にも容易に理解してもらうべく専門的な用語を避け明解に解説した、革新的な創傷治療の書である。

目次

第1章 創傷治癒の基礎知識

第2章 創傷治療の常識非常識
  1 創に細菌がいれば感染?
  2 Colonization=Infection?
  3 異物・壊死組織と感染?
  4 外傷に消毒は必要?
  5 消毒薬は細菌を殺す?
  6 創面はガーゼで覆う?
  7 創の閉鎖で感染が増える?
  8 細菌はカテーテルをつたわって感染する?
  9 注射前のアルコール消毒は有効?
  10 手術後の縫合創はガーゼで覆う?
  11 術後の縫合創には消毒が必要?
  12 手術創には無菌操作が必要?
  13 傷が化膿したら消毒は必要?
  14 関節穿刺後の入浴はいけない?
  15 手術前の手洗いは滅禁水で?
  16 術後の創離開は縫合不全?
  17 市販されている外傷治療用創傷被覆材はない?
  18 食品包装用ラップは外傷治療に使えない?
  19 褥瘡洗浄は生理食塩水か水道水?
  20 褥瘡洗浄にはカテキン効果?
  21 褥創からMRSAが出たら、さあ大変?
  22 断端形成術は必要?
  23 切断指にはアルミホイル法?
  24 皮膚欠損には植皮術?
  25 強い緊張した創は丈夫な糸で結紮?
  26 ボーンワックスは最良の止血材料?
  27 褥瘡があれば細菌検査?
  28 手術創のMRSA感染は院内感染?
  29 眼瞼下垂症には眼瞼吊り上げ術?
  30 バイオクリーンルームは細菌感染を防ぐ?
  31 骨折固定プレート感染に閉鎖療法?
  32 慢性骨髄炎治療には持続洗浄?
  33 口腔内手術後は絶食?
  34 1日に1回、1週間に1回?
  35 除菌原理主義?
  36 擦過創と褥瘡は別物?
  37 皮膚外傷学?
  38 人間五十年、下天のうちを比ぶれば?

第3章 閉鎖療法による治療症例

第4章 創傷治療のQ&A
  Q1 被覆材の交換頻度は?
  Q2 ハイドロコロイド使用時の注意点は?
  Q3 ハイドロコロイドを使うと臭いが強くなことがあるが、化膿と考えていいか?
  Q4 挫傷、裂傷、熱傷などで被覆材を使う場合の病名は?
  Q5 被覆することで感染することはないか?
  Q6 アルギン酸塩からポリウレタンフォームドレッシングへの切り替えの時期は?
  Q7 アロアスク、ベスキチンの使用はどうか?
  Q8 広範囲の熱傷などは、どう治療すればよいか?
  Q9 指尖部損傷のアルミホイル法との違いは?
  Q10 縫合創のドレッシングはどうしたらいいのか?
  Q11 網目状ガーゼは?
  Q12 膿の様な浸出液が溜まっていたら、毎日交換した方が良いでしょうか?
  Q13 外傷で抗生物質は処方するのか?
  Q14 熱傷での抗生剤投与は?
  Q15 術後の抗生物質の予防的投与は効果的か?
  Q16 縫合糸膿瘍で抗生剤投与は必要か?
  Q17 感染創や傷の周囲も消毒の必要はないのか?
  Q18 手術前の消毒は有効か?
  Q19 創部を薬浴をしているが、薬浴ではなく水道水で洗った方がよいのか?
  Q20 ポビドンヨードゲル(イソジンゲル)は有効か?
    消毒のポビドンヨード(イソジン)とは別物なのか?
  Q21 採血時の皮膚アルコール消毒は意味があるのか?
  Q22 関節注射時のイソジン消毒も必要ないのか?
  Q23 人工骨頭置換術などの整形外科手術の前に、ヒビテン液で消毒し、
    被布で包んで手術室に入るが、これに意味はあるのか?
  Q24 分娩後に膣や外陰をポビドンヨード(イソジン)消毒する意味は?
  Q25 皮膚縫合前に創面を消毒する医師がいるが、これはどうか?
  Q26 傷の消毒は絶対に駄目なのか?
  Q27 術中に抗生剤入り生理食塩水で洗浄しているが、これには意味はあるのか?
  Q28 蜂窩織炎に対しても消毒は不要なのか?
  Q29 胃瘻部の浸出液、肉芽に対し、ガーゼをあてているが一向によくならないが?
  Q30 フォーレ留置中、挿入部(ペニス先端など)に膿の様なものが付着することが
    あるが、その処置はどうしたらいいのか?
  Q31 結核性膿胸の胸腔ドレーン挿入部が常に化膿しているため、週に1、2度消毒して
    ガーゼで保護しているが、この処置でいいのか?
  Q32 白血球減少症疾患では、カテーテル刺入部の消毒は必要ではないか?
  Q33 術後創を覆う滅菌ガーゼの意味は?
  Q34 創処置に使用するもので、滅菌でないといけないものと
    未滅菌でいいものの区別は?
  Q35 酸性水が有効という話を聞いたが?
  Q36 感染創にスルファジアジン銀(ゲーベンクリーム)を使用しているが、
    創が治癒しないが?
  Q37 抗癌剤漏出でアクリノール(リバオール)湿布をしているが、これはどうなのか?
  Q38 冷湿布に治療効果はあるのでしょうか?
  Q39 ケロイド体質といわれたが?
  Q40 消毒をしないと患者が納得してくれないが?
  Q41 使用して残った被覆材がもったいないけど?

第5章 資 料
  1 新鮮外傷の治療に有用な創傷被覆材
  2 創傷被覆材の成績表
  3 皮膚欠損用創傷被覆材の機能区分と製品リスト

書評

林 寛之(福井県立病院救命救急センター)
 実に読みやすい「皮膚外傷」総論というかんじの本である。他人の診断を鵜呑みにせず、自分で診断をつけるべきと考えるのが常であるのが医者であり、医者ほど疑いやすい人種はいないと思いつつも、この本を読むと、創傷処置に関しては、実にこの150年間に渡り、先人の治療法を疑うことなく行ってきたものかと痛感させられる。
この本には、素直にかつ論理的に、夏井論とでもいうべき「皮膚外傷」に関する考え方が整理されている。彼の提唱する「閉鎖療法」は実に理にかなっており、そのうち世間でも当たり前に認められ、閉鎖療法の医療基材が市販されるようになる日もそう遠くないであろうと予感させられる。本の副題にもあるように「消毒とガーゼ」撲滅宣言は重要なコンセプトであり、医療倫理と言えば大げさだが、安価で安全な医療を患者に供給する良心的なアプローチとして閉鎖療法があるということは、多くの医者がきちんと症例を選んで再検証すべき内容であると考える。夏井氏の常に基本に立ち返り、素朴な疑問を普遍的な事実から演繹していく論法は妙に納得させられる。「良い子が悪い連中と付き合うとグレる」、「フーリガンとサッカーファン」、「3分間だけ戦うウルトラマン」、「グレゴリオ暦とガーゼ交換の関係」などの話が登場し、とにかくわかりやすく面白い。面白くなければ伝達したいものも伝達できないはずだし、その点でもこの本は高く評価できる。是非夏井氏の講演も聞いてみたくなるような気持ちにさせられる。全国にも夏井教に心酔した信者、失礼、医者達が大勢いるのもうなずける。総論的な内容がBaby stepで解説され、読み進むうちに基本的なコンセプトがすり込まれていく様な構成になっている。practicalな内容に関しては、コンパクトにうまくまとまっているものの、もう少し具体的にschemeをまじえて書いてもらえるともっとわかりやすく、臨床応用に踏み切れる本になったと思う。次回の改定で改善されることを期待する。ついでに100円ショップで揃う創傷処理に役立つグッズコーナーも設けてもらえると嬉しい。治療症例の写真は感動もので、写真入りの医学書でありながら2800円の本に仕上げた三輪書店もなかなかどうして研修医のことを考えており、とてもいい姿勢だと思う。あっという間に読める、いや夏井節に引き込まれる良書である。

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