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日常診療でみる人格障害 分類・診断・治療とその対応

A5 / 122頁 / 2004年
【編著】 狩野力八郎(東京国際大学大学院臨床心理学研究科) / 高野晶(公立昭和病院心身医療科) / 山岡昌之(九段坂病院心療内科)

商品コード: ISBN978-4-89590-203-8

本体価格:2,300 円

定価: 2,530 (税込)

商品情報

内容紹介

近年、身体医療を行う場面でも、人格障害を伴った各科固有の疾患患者が引き起こす混乱やトラブルが増加しているという。
本書は、こうした状況に円滑に対応するために、まず人格障害の概念および診断と治療についてわかりやすく解説。さらに8人の臨床専門医が、一般診療での対応として必要な、チーム医療のあり方や連携について、具体的な相談・依頼・転科の進め方などを含め、そのポイントを簡潔に示した。各科臨床医ばかりでなく、研修医、医学生、看護師、薬剤師などすべての医療スタッフにとって、実際の医療現場での生の声に基づく実践的な入門書である。

目次

第1章 人格障害とは何か…高野 晶
   人格障害の概念
   人格障害の分類
     1. A群(クラスターA)人格障害
     2. B群(クラスターB)人格障害
     3. C群(クラスターC)人格障害
   臨床的観点からみた人格障害
   人格障害の成因
     1. 生物学的観点から
     2. 精神分析的観点から-発達を含めて

第2章 人格障害の歴史…狩野 力八朗
   いま、なぜ人格障害か?
     1. 診断上の抵抗感の減少
     2. DSM-IIIによる多軸診断の影響
     3. 社会家族構造の変化
   フロイトの貢献
     1. 性格傾向の精神分析的理解
     2. 特殊な人格の記載
     3. 分析可能性による人格障害の分類
   ライヒとフェニヘルの貢献-古典的性格障害論
   全体としての人格および重症人格障害
     1. ドイチュの貢献-かのような人格
     2. クラインの貢献-治療可能性の発見
     3. エリクソンの貢献-同一性理論
     4. カーンバーグの貢献-境界人格構造
   人格障害治療の現状

第3章 人格障害の診断と治療…山岡 昌之
   治療スタッフに必要な知識
    1. 人格障害を併存している可能性が高い疾患
    2. 退行
    3. 見捨てられ抑うつ
    4. 行動化
    5. リストカット
   各人格障害の診断基準
    1. 全般的診断基準
    2. DSM-IVに挙げられた10の人格障害
   他の精神障害との併存
    1. 気分障害に併存する人格障害
    2. 摂食障害に併存する人格障害
    3. パニック障害に併存する人格障害
    4. 身体化障害に併存する人格障害
    5. 薬物依存に併存する人格障害
    6. 心身症に併存する人格障害
   人格障害の治療
    1. 人格障害に有効とされる主要な精神療法
    2. それぞれの人格障害群の治療
   人格障害の薬物療法
    1. A群人格障害
    2. B群人格障害
    3. C群人格障害
   人格障害の疫学と予後
    1. 疫学
    2. 予後
   告知

第4章 [座談会]一般臨床で人格障害にどう対応するか
   来院時の対応はチーム医療体制で
   人格障害に対する偏見を捨てる
   外来、ERでの人格障害への対応
   入院決定の判断基準と留意点
   告知をどう行うか
   人格障害の退行促進的な側面を知る
   人格障害および家族との接し方
   人格障害への対応ルール

第5章 [座談会]精神科・心療内科との連携をどうするか
   連携の現状
   コンサルテーション・リエゾンと人格障害
   転科の基準
   相談・依頼・転科の進め方
   紹介状の書き方
   人格障害治療のネットワーク
   第5章の付録:構造化すること(structuring)
     構造化することの目的-治療的意味
     治療において何を構造化するか
     治療においてどの程度構造化するか
     構造化することに際しての留意点

第6章 [座談会]人格障害に今後どう対応していくか
   人格障害から学ぶ
   施設のあり方-アメリカと比較して
   人格障害の治療と保険診療
   病院・病棟はどうあるべきか-チーム医療
   現代社会と人格障害との関連性

書評

箕輪 良行(聖マリアンナ医科大学救急医学教授)
 新しい研修制度で精神科が必修となった。素晴らしいことだと思う反面、一般医の素養となる研修内容が広く実現されるかという不安もある。評者は研修医にとって、(1)身体疾患の入院患者に精神疾患の存在を疑える、(2)うつ病の早期診断、治療が実施できる、 (3)診療に困難を感じるdifficult patientの中に人格障害を疑う、といった能力はミニマムに近い、役に立つ診療能力だと思っている。
 本書の筆者らは非常に遠慮がちにではあるが、一般の病棟や救急外来で研修医が接している患者の中に「こころの病気」がいることを指導している精神科医、心療内科医たちである。わが国に、このような指導実績がすでにかなりいることは、上記の不安を払拭してくれる明るい材料である。
 多くの研修医、総合医に読んでもらいたい本だが、読む順序として、第1章、2章、4章、5章、3章、6章の順がよいかもしれない。身体科の一般医にはまだなじみの薄い人格障害という言葉だが、どの病棟にも入院している「ちょっとおかしな」患者のことだなと気づくだろう。まえがきに人格障害という病気をみる身体科の医師たちの入門書と紹介されている。精神医学の専門家でない人たちに向けて書かれたという点が、本書の最大の売りであり、おそらく国内で初めてではないだろうか。
 200床程度の規模の病院だと職員全員が医療チームの一員という意識があり、境界型人格障害などの患者の受付、外来、入院でのアプローチに向いている、という指摘(54頁)や、反社会性人格障害などの患者に嫌だなという陰性感情が起こってくると、医療者の逆転移と説明できるが、患者が「前の先生のことを悪く言ったり、今度は新しい先生を理想化する」転移を起こしたりすると、研修医にとって非常にストレスになるが、結果として医療の質を高めることになる(84頁)とも書いている。
 人格障害という病気に関しては入門書でいいのである。むしろ、このような内容をもったテキストこそ評者たちのようなジェネラリストや身体科の専門医にありがたい。難しい精神分析や心理学の理論、説明はミニマムにとどめて、どういう症状、症候が患者の「おかしさ」を構成しているのか、を記述的に書かれていれば十分である。DSMの操作的診断基準に従って人格障害かな、と目処が立てばいいのである。その先は本書の紹介の仕分けにあるように、リエゾンの精神科や心療内科が相談にのってもらえる可能性が生まれる。
 境界例のような困難な患者を医師-患者関係からみると、構造化すること(structuring)という概念にまとめられる(95頁)という記述は新鮮であった。身体疾患を普段扱っている一般医にとってこのような発想は大きな驚きであり、さすがに「こころの医者」は違う、と感心させられるところである。
 そして研修医指導の現場にいると、本書に登場する人格障害をほうふつとさせるような研修医が稀にいると感じるのは評者だけではないのではないだろうか。研修医指導にあたる上級の医師にとっても必読の本と思われる。
 これから、精神科研修と関連して有用でハンディーなテキストが、次々に現れてもらいたい。それは間違いなく指導医クラスの身体科の医師にとっても大変にありがたいことになる。
●『レジデント・ノート』6巻5号 p708(2004)●

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